2019-03-01から1ヶ月間の記事一覧

赤松利市『藻屑蟹(文庫本版)』を読んで。

本ブログでも一度紹介したことがある、第一回大藪春彦新人賞を受賞した短編小説『藻屑蟹』には、続きがあった。続き。続編。 一年前の昨日、電子書籍の無料コーナーで偶然見つけたこの本をすぐに読み、あっという間に度肝を抜かれたのをよく憶えている。ショ…

吉村萬壱『臣女』を読んで。

不条理。不憫。不潔。 人の愛という物が、一体どれほど醜く愚かしいものであるか、そしてまた、どれほどに儚く美しいものであるか。そんなことを残酷に、切り刻むように教えてくれる小説。もしも誰かに「純愛とは何ぞや」と問われれば、私は第一にこの小説、…